季刊身体雑誌

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2010年9月12日日曜日

樹の写真展・他・続き


 
展示される写真はどれも「樹の写真だ」としかいいようが無い。深山幽谷の樹木というわけでもない、観光名物の巨木というものでもない。撮影地は都心の植物園、郊外の雑木林、静岡県の湿地、せいぜい遠出して沖縄県で撮ったものだという。見ようとすれば誰でも見られる対象だろう。しかし、作者なりの独自の切り取り方で撮影された木々のたたずまいを、一点、一点眺めていくうちに、作者の行動の軌跡、行為の積み重ねの重みといったものが伝わってくる。そうして、心に響いてくるものを、見る者が静かに「聴け」ばいいのだろう。
そして、もうひとつ、この作者ならではの対象の切り取り方(フレーミング―――写真という表現手段は、それが対象との距離感、時には作者の世界観や歴史観、人生観といったものまでもあらわすのだが)その独特な距離感で作られた『帝都防衛』というルポルタージュ風の作品も同時に展示されている。こちらも一見の価値はある。

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